この記事では、2025年に告示研修を受けた現役放射線技師ナツが、次の内容を丁寧にまとめています。
- 告示研修とは何か?
- 受講は義務か?告示研修の対象者
- 告示研修の内容、費用、申込み方法など
これから受講を検討されている方が、安心して受講判断や手続きを進められるようサポートできれば幸いです。
告示研修とは?
告示研修は、公益社団法人日本診療放射線技師会(以下、技師会)が主催する研修です。
2021年の法改正により、診療放射線技師が行える業務が拡大され、新たに静脈路確保や造影剤・放射性医薬品の投与といった手技が追加されました。
この法改正に対応し、追加された業務を安全に行うための知識と技術を習得する場が告示研修となります。
受講することで、これらの追加された業務や安全対策について学ぶことができます。
出典
診療放射線技師の新たな業務範囲の見直しに伴う告示研修参加のお願い|公益社団法人日本診療放射線技師会
良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律附則第十三条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する研修|厚生労働省
受講は義務か?告示研修の受講対象者
告示研修の受講対象となるのは、2024年4月1日より前に免許を取得した放射線技師、または、その日までに国家試験合格後に免許取得した放射線技師になります。
これにあてはまる対象者が、前述の法改正によって追加された業務を行う場合、告示研修を受けることが義務付けられています。
※2024年4月1日以降に国家試験に合格し免許を取得した方は、基本的に、告示研修の内容が大学や専門学校のカリキュラムに組み込まれているため、これらの研修の受講義務は原則としてありません。ただし、実務にあたっては施設や地域の指導に従い、必要に応じて追加の研修を受ける場合があります。最新の情報や詳細については、公益社団法人日本診療放射線技師会の公式情報を必ずご確認ください。
出典
医療機関・施設長あて 診療放射線技師の新たな業務範囲の見直しに伴う告示研修参加のお願い(PDF)|公益社団法人日本診療放射線技師会
法令改正を行いタスク・シフト/シェアを 推進する業務について <別添3>|厚生労働省
診療放射線技師学校養成所指定規則の一部を改正する省令(令和3年3月31日公布)|山梨県公式サイト
2026年度以降の告示研修(実技研修)開催について
2026年度(令和8年度)から、これまで各地域で実施されてきた告示研修(実技研修)が、一部の地域で開催されなくなる予定です。
2025年度が地域開催の最終年度となる地域もありますので、受講を希望されている方はなるべく早めの申し込みをご検討ください。
最新の日程や開催状況については、必ず技師会公式サイトをご確認ください。
告示研修(実技研修)2025年度 開催日程(9月30日更新)|公益社団法人日本診療放射線技師会
告示研修(実技研修)広島県開催のお知らせ(8/2, 3) – 公益社団法人 広島県診療放射線技師会
令和7年8月開催告示研修(実技研修)のご案内|公益社団法人岐阜県診療放射線技師会
告示研修の概要とプログラム内容
告示研修の内容
告示研修の内容(法改正で追加された業務内容)は、主に下記の5項目です。
- RI検査のための静脈路確保・RI検査医薬品の投与・抜針・止血
- 造影検査のための静脈路確保・抜針・止血(造影CTなど)
- 動脈路への造影剤注入装置の接続と操作(IVRなど)
- 下部消化管検査のための肛門へのカテーテル挿入・造影剤や空気の吸引・カテーテル抜去
- 上部消化管検査のための鼻腔カテーテルの挿入・造影剤注入・抜去
※これらの業務(造影剤投与やカテーテル操作など)は、必ず医師や歯科医師の具体的な指示のもとで行う必要があります。また、万一アナフィラキシーショックなどの緊急事態が起きた際にも、医師や歯科医師がすぐに対応できる体制で実施し、安全に配慮することが求められています。
参考
診療放射線技師へのタスク・シフト/シェアに関するガイドライン|公益社団法人日本診療放射線技師会
「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進に ついて」等に関するQ&Aについて|荒川区公式サイト
「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について」等に関するQ&Aについて〔臨床検査技師等に関する法律〕|厚生労働省
研修プログラム
「研修プログラム」と「研修終了後の流れ」については、2025年に私が告示研修を受講した際の体験をもとにしています。
基礎研修
告示研修(基礎研修)は約700分のe-ラーニング動画による学習です。
自宅のパソコンやスマートフォンなど、通信環境があればいつでも視聴できます。
5つの各テーマごとに8問くらいの⚪︎×形式の確認試験があり、全問正解しないと修了出来ません。
ただし、確認試験は合格するまで何度でも受け直すことができますので、安心です。
この基礎研修を修了することで実技研修への参加資格を得られます。
実技研修
告示研修(実技研修)は、1日で完結します。
午前中は講義(動画視聴)、午後は実技演習が行われます。
私が参加した際は、講師の先生方が丁寧に指導してくださり、全体的に質問しやすい雰囲気で、安心して受講することができました。
試験はなく、遅刻や欠席などがなければ、問題なく修了できるかと思います。
別記事で実技研修の体験記もございますので、ご興味があればご覧ください。
研修終了後の流れ
研修を終えた当日には受講証明書とバッチが配布されます。
実技研修受講当日、修了証書は、厚生省への連絡等の事務処理後、一カ月半ほどで郵送されると説明がありました。
郵送先はJARTに登録している住所(技師会会誌が届く住所)になります。
修了証書の提出期限が決まっている場合など、必要な方は早めに申し込みましょう。
最新情報は技師会公式サイトをご確認ください。
告示研修の費用、申し込み方法、e-ラーニング動画の視聴方法
告示研修の費用
告示研修(基礎研修):10,000円(技師会会員は0円)
告示研修(基礎研修):20,000円(技師会会員は10,000円)
※最新情報は技師会公式サイトをご確認ください。
出典:診療放射線技師 告示研修 受講申込みの流れ|公益社団法人日本診療放射線技師会
告示研修(基礎研修)申込み方法
告示研修の申込み方法について、検索など個人的に分かりにくい部分がありましたので、詳しく具体的に説明します。
- JARTにログインします。
- マイページ下部の「e-ラーニングのお申込」をクリック。
- 「コース名」の欄に「告示研修」と入力し、右下の青い「検索」ボタンをクリック。
- 「告示研修(基礎研修)」というコース名で検索結果が表示されるので、申込受付期間を確認します。
- 受付期間内であれば、イベント名左の丸をクリックして選択(青くなります)。
- 画面右下の青い「次へ」ボタンをクリック。
- 画面右下の「申込開始」をクリック。
- あとは画面の案内に従って進んでください。
※申込みが完了したら、JARTから動画を視聴できるようになります。
告示研修(基礎研修)e-ラーニング動画の視聴方法
- JARTにログインします。
- マイページ下部の「e-ラーニングを視聴する」をクリック。
- 右側にある告示研修用の「e-ラーニングを視聴する」をクリック。
- 画面左上の「カテゴリ」をクリックし「すべて」を選択。
- 「告示研修(基礎研修)」をクリックして、動画を視聴します。
告示研修(実技研修)申込み方法
- JARTにログインします。
- マイページ下部の「イベント参加申込み」をクリック。
- 「イベント名」の欄に「告示研修」と入力し、右下の青い「検索」ボタンをクリック。
- 「告示研修(実技研修) 場所 日時」というイベント名で検索結果が表示されるので、都合の良い場所・日時と申込受付期間を確認します。
- 受付期間内であれば、イベント名左の丸をクリックして選択(青くなります)。
- 画面右下の青い「次へ」ボタンをクリック。
- 画面右下の「申込開始」をクリック。
- あとは画面の案内に従って進んでください。
※実技研修は、必ず「基礎研修」を修了してから申込・受講する必要があります。基礎研修を終えていない場合は、先に基礎研修を受講してください。
※研修の詳細や最新情報は技師会公式ページ等で必ずご確認ください。
まとめ
告示研修は、放射線技師の業務拡大に対応するための研修です。
申込は技師会サイトでオンライン申請、eラーニング+1日実技が基本です。
実技研修の開催地、日程は年度ごとに異なり、2025年以降一部開催地で終了予定なので要注意。
2024年4月1日より前に国家試験に合格、または免許を取得した技師で、対象業務を行う場合は受講が義務。以降の新カリキュラム世代は不要。
告示研修の開催日程や費用、申し込み方法は年度や地域により変更されることがあるため、必ず公式サイトや所属学会で最新情報をチェックしましょう。
コメント