この記事では、2024年に「業務拡大に伴う統一講習会(以下、統一講習会)」、2025年に「告示研修」を受講した現役放射線技師ナツが、それぞれの講習の特徴や違い、受講のポイントをわかりやすく解説しています。
これから受講を検討される方に向けた具体的な情報をお届けしますので、ぜひ参考にしてください。
*本記事の内容は現行制度を中心にまとめていますが、一部体験談や過去事例を含むため、詳細は必ず公式情報をご参照ください。
統一講習会と告示研修の違いは?
統一講習会と告示研修の違いは、主に下記の通りです。
項目 | 統一講習会 | 告示研修 |
---|---|---|
目的 | 2014年法改正対応 | 2021年法改正対応 |
必要性 | 任意 | (2021年法改正で追加された業務を行う場合)原則必須 |
開催形式 | 会場2日間 (DVD講義+実習) | eラーニング+会場1日 (講義+実技) |
試験 | あり(選択式の筆記試験) | なし |
主な内容 | 静脈への造影剤注入と抜針・止血、画像誘導放射線治療、下部消化管検査など | 静脈路確保・造影剤注入・抜針・止血、RI検査医薬品の注入、下部消化管検査、上部消化管検査、動脈路への造影剤注入など |
所要時間 | 約2日 | eラーニング(約700分)+1日 |
・統一講習会は2日にわたって開催されます。会場で講義(DVD)を1日半視聴、2日目の午後に実習があります。告示研修では、まず自宅などで基礎研修(e-ラーニング(700分))を受講し、その後、会場で1日の実技研修を受けます。午前中に会場で座学(動画視聴)、午後は実技になります。
・統一講習会では画像誘導放射線治療(IGRT)やBLS(一次救命措置)などがありますが、告示研修では内容に含まれていません。
・告示研修では、静脈路の確保、上部消化管検査のため鼻腔カテーテルから造影剤を注入、鼻腔カテーテル抜去などがありますが、統一講習会では内容に含まれていません。
・全体の印象として、統一講習会は、解剖や装置、検査全体の解説、法令関係などがより詳しく、一時救命措置なども含んでおり、放射線技師が知っておくべきことを、包括的に学べました。告示研修は簡潔ながらも、消毒や三方活栓の接続などの手技、声掛け、副作用の説明などの実務的な重要ポイントがしっかり解説され、明日からでも検査ができそうなほど実践的でした。
会場や年度によって差異のある部分や、私の受講時の体験・印象による部分を含みますので、受講の際は「公益社団法人 日本診療放射線技師会(以下、技師会)」の公式サイトや出典として挙げているサイトもご参照ください。
出典
診療放射線技師法及び臨床検査技師等に関する法律の一部改正の施行等について〔臨床検査技師等に関する法律〕|厚生労働省
診療放射線技師法施行規則及び臨床検査技師等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布について(厚生労働省医政局長:H27.2.17)|公益社団法人 全日本病院協会
臨床検査技師等に関する法律施行令の一部を改正する政令等の公布について(医政発0709第7号)|いきいき働く医療機関サポートWeb(いきサポ)
診療放射線技師へのタスク・シフト/シェアに関するガイドライン|公益社団法人 日本診療放射線技師会
受講判断フローチャート
受講に迷った場合、どちらの講習を受けるべきか、また急いで受講する必要があるのかを状況に応じて判断できるフローチャートです。迷われた際はぜひご活用ください。
【次の検査業務をすぐに担当したいですか?】
CTやMRIなどの造影検査(静脈路の確保を含む)
- IR医薬品の注入
IVRでの動脈路への造影剤注入
など
▶︎ 「告示研修」を先に受講しましょう!
(基礎研修後に実技研修を修了すれば、業務拡大に直結)
業務拡大分野や放射線業務全般について、じっくり基礎から幅広く学びたいですか?
▶︎ 「統一講習会」or「両方受講」がおすすめです!
(「統一講習会」のBLSや検査全体の解説は有用です)
急ぎでなければどちらでもOK。最新の法改正ポイントや受講要件を公式サイト等でご確認ください。
急ぎでなければどちらでもOK。最新の法改正ポイントや受講要件を公式サイト等でご確認ください。
*お勤め先の方針や個別の事情により異なることがありますので、最終判断は所属施設や公式情報をもとに行ってください。
ポイント別の「おすすめ受講タイプ」
あなたの状況・ニーズ | おすすめ |
---|---|
造影検査(静脈路確保等)をすぐ担当したい | 告示研修を先に |
幅広い知識や救命措置、IGRTも学びたい | 統一講習会から |
とにかく業務拡大資格が必要 | 告示研修必須 |
2016年以前の旧カリキュラム卒業、講義復習したい | 統一講習会も有用 |
すぐに実務を担当したいなら告示研修、幅広くしっかり学びたいなら統一講習会もご検討ください。
告示研修は原則必須で即戦力重視、統一講習会は任意ですが、基礎知識からしっかり学べるためです。
例えば、造影検査をすぐ担当したい方は告示研修から受講が推奨されます。
ただし、両講習とも安全かつ質の高い医療提供のため有用ですので、可能であれば両方の受講が推奨されています。
目的に応じて選択することが重要です。
個人差やお勤め先のポリシーにもよりますので、受講の際は必ず所属施設や公式ガイドラインを参考にしてください。
統一講習会を受けなくても告示研修は受講できるのか
診療放射線技師免許を取得していれば、統一講習会を受講しなくても、告示研修を受講できます。
以前は、「統一講習会修了者の先行申込特典」がありましたが、2025年度からは廃止されました。
統一講習会は、業務拡大分野への理解を深める目的で全国的に開催・推奨されていますが、告示研修を受講するための必須条件ではありません。
2015年以降に養成課程に取り入れられた新カリキュラムを履修していない場合でも、診療放射線技師免許を持っていれば統一講習会を経ずに告示研修を受けることができます。
最新情報については、日本診療放射線技師会(JART)の情報システムで随時ご確認ください。
まとめ
本記事では、2024年に「業務拡大に伴う統一講習会」、2025年に「告示研修」を受講した現役診療放射線技師ナツが、両講習の違いや受講の優先度を詳しく解説しました。
統一講習会は2日間にわたって開催される、任意受講の講習です。
一方、告示研修は原則受講必須で、基礎研修をeラーニングで行い、会場での実技研修を1日実施します。
受講を急ぐかどうかやどちらを優先すべきかは、業務の必要性や個人の状況によって異なります。
記事内のフローチャートを参考にしながら、適切な講習を選んでください。
いずれも安全で質の高い医療提供のために重要な研修です。
また、本記事の内容は年度や会場、制度改正により変更される場合があります。
最新情報は技師会の公式サイトでご確認ください。
告示研修や統一講習会について、他にも記事を書いていますので、ご興味がありましたらご覧ください。



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