この記事は、遅ればせながら、最近告示研修を受けた現役放射線技師の体験記です。
「告示研修(実技研修)の雰囲気や難易度を知りたい」「安心して参加したい」「予習はどの程度必要?」など、これから告示研修を受ける放射線技師向けの情報を載せています。
お役立ていただければ幸いです。
そもそも告示研修って何?という方は、「公益社団法人 日本診療放射線技師会(以下、技師会と省略させていただきます)」公式ホームページから、生涯教育情報の告示研修特設サイトをご参照ください。
また、告示研修(実技研修)を受けるには、先に告示研修(基礎研修)を修了しなければいけません。
基礎研修の申し込みは、技師会公式ホームページからJART(日本診療放射線技師会)情報システム(JARTIS)へログインして手続きを行ってください。
告示研修(実技研修)の難易度・合格基準について
告示研修の実技には試験はありません。遅刻や欠席などの問題がなければ、基本的にすべての参加者が無事に修了できます。
実技中にミスや失敗があっても、講師の方が丁寧に指導してくださるので安心です。
誰でも不安なく参加できる研修となっています。
告示研修の予習は必要?
告示研修には試験がないため、予習は必須ではありません。
午前中には動画で手順やポイントを詳しく説明してくれますし、実技の際にもマニュアルが用意されていて、現場で見ながら作業できる環境が整っていました。
実技中は講師の方が各テーブルを巡回し、困ったときには親切にフォローしてくれます。質問もしやすい雰囲気でしたので、初めての方でも安心です。
それでも不安な場合は、基礎研修の動画で各項目ごとの操作や手技の流れを解説したものがあります。特に「資料ダウンロード」が付いていない動画を見直すと、当日の実技がよりスムーズに進むと思います。
なお、私が受けた際は、実技研修ではインジェクターやRIの実物は使用しませんでしたので、その点もご安心ください。
告示研修(実技研修)の雰囲気や参加者の様子
私が受講した際は、参加者数は定員の半分ほどとのアナウンスがあり、全体的にゆったりとした雰囲気で進行していました。
午後の実技研修では、受診者役を経験したり、待ち時間にペアの方の手技や隣のグループの様子を観察することができました。各施設ごとに声かけの仕方や細かな手技の違いがあり、とても勉強になりました。
参加者は数十名で、30代の技師が多く見受けられましたが、50代くらいの方も数名いらっしゃいました。男女比は男性がやや多めでした。
また、休憩時間などには、最近参加した勉強会の話やマンモグラフィ認定、DMAT(災害派遣医療チーム)に関する話題で盛り上がるなど、勉強熱心な方が多い印象を受けました。良い刺激をもらえる環境だと感じましたし、運が良ければ有益な情報収集もできるかもしれません。
持ち物や服装について
服装:動きやすい服装(スクラブやカジュアルなパンツスタイルなど)
持ち物:特に必須なし。ただし、受講証明書を持ち帰るためのA4サイズのファイルがあると安心です。
本人確認:私が参加した会場では、受付で名前を聞かれただけで、身分証の提示はありませんでした。
※ただし会場によっては必要な場合もあるかもしれませんので、念のため持参するとより安心です。
貴重品管理:ロッカーはなかったため、常に身につけるか、持ち物は最小限に。
昼食:会場病院内のコンビニ利用可。動画視聴室での飲食もOK(ゴミ箱あり)。
告示研修(実技研修)の流れ〜研修プログラム〜
ここでは、私が実際に受講した際のスケジュールをご紹介します。
会場や年度によって異なる可能性がありますので、最新情報は各都道府県の診療放射線技師会や日本診療放射線技師会の公式案内をご確認ください。
8:30 受付開始
9:00 開講式・オリエンテーション
9:05 動画視聴(途中10分のトイレ休憩×1)
12:00 昼休憩
13:00 実技(途中10分のトイレ休憩×3)
17:50 閉講式
18:00 解散
午前(動画視聴)
午前中は全国統一の研修動画を使い、実技で行う5項目(静脈路確保、RI投与、動脈路操作、下部消化管検査、上部消化管検査)の流れやポイントを学びます。
患者さんへの声掛け例や動きのタイミングなども詳しく解説され、未経験でもイメージがつかめる内容です。
午後(実技)
午後はグループに分かれて5つの実技項目を順番に体験します。
会場内の各テーブルにはマニュアルが用意され、講師が巡回して適宜フォローしてくれます。
私は予習なしで参加しましたが、午前の映像解説と事前説明で十分対応できました。
※詳細な所要時間や実技研修の内容は公式サイトに掲載されています。
実技の内容と体験
午後の実技では、参加者同士でグループ・ペアを組み、各実習テーブルを順番に回る形式でした。
それぞれの項目で「技師役」と「患者・補助役」を交代しながら体験します。静かな緊張感もありましたが、研修全体を通じて、講師の方のきめ細かな指導と配慮が感じられる場でした。
1. 静脈路確保・抜針・止血(造影検査・RI検査用)
腕の模型を用いて、静脈路の確保から抜針、止血までを練習します。
模型内部は血管を模してあり、逆血の確認も可能です。
声掛けや消毒など、細部まで手順を確認しながら進めました。失敗してもすぐ講師が声掛けをしてくれるので、落ち着いて何度も練習できました。
2. RI検査医薬品の注入
三方活栓やシリンジを使った接続や操作の手順を学びます。私が参加した会場では、手押しでの操作でした。
実際のRIは用いないため、安全に手順を習得できます。
3. 下部消化管検査のためのチューブ挿入と抜去
臀部を模した模型を用いて、肛門からチューブを挿入・抜去する手技を実習しました。
お腹側から内部構造を確認でき、バルーンの膨張も目で見ることができました。
4. 上部消化管検査のための鼻腔カテーテル操作
頭部から胃まで繋がった模型を使用し、鼻腔カテーテルの挿入・抜去を練習します。
日常業務ではあまり経験のない手技でしたが、模型を使って丁寧に進めることができました。
5. 動脈路への造影剤注入機器の接続と操作
滅菌ガウンや手袋の装着、カテーテルやガイドワイヤーの取り扱いなど、普段の業務とは異なる工程が多い内容でした。
グループ内で助け合いながら進めることができ、講師も丁寧にフォローしてくださいました。
実習を通して、講師や他の参加者からの適切なアドバイスやサポートがあり、落ち着いて手技に取り組むことができました。
各施設の細かな違いにも気付き、技術や対応の幅を広げる良い機会となったと感じます。
※基礎研修では「静脈路確保→RI投与→動脈路操作→下部消化管→上部消化管」の順で項目が紹介されていますが、私が参加したグループは「静脈路確保→RI投与→下部消化管→上部消化管→動脈路操作」の順番でテーブルを回りました。会場や日程によって異なる場合があるため、事前に案内を確認しておくと安心です。
失敗談と気付き
静脈確保の実習では、事前の声かけや消毒に集中しすぎて駆血帯を外し忘れ、講師に指摘されて初めて気が付いた、というミスがありました。
緊張していると基本的なことでも抜けてしまうものだと実感しましたが、講師がすぐサポートしてくれたので、焦らずにやり直せました。
受講証明書・バッチ 当日の配布物について
研修終了後は、当日に受講証明書とバッチが配布されました。
正式な修了証書については、厚生省とのやり取りなど事務手続きがあり、一ヶ月半ほど経ってから郵送されるとの説明がありました。
郵送先は、JART(日本診療放射線技師会)に登録されている住所(技師会の会誌が届く住所)となりますので、事前に確認しておくと安心です。

まとめ
告示研修(実技研修)は、試験がなく、遅刻や欠席がなければ無理なく修了できる内容です。予習も必須ではなく、午前中の動画や当日のマニュアル、講師の丁寧なサポートがあるため、初めてでも安心して参加できます。
研修当日はゆったりとした雰囲気で進行し、多様な年代や施設からの参加者と交流できる貴重な機会です。実技では各施設ごとの工夫や声かけの違いも学べ、スキルアップにつながる内容が充実しています。
体験を通じて多少の失敗や戸惑いもありましたが、その都度講師のフォローがあり、安心して学べる環境でした。持ち物や服装などの準備を整え、リラックスして参加することが大切です。
修了証書や受講証明書は当日もらえるものと郵送されるものがあり、手続きに少し時間がかかるため、事前に流れを把握しておくとスムーズです。
これから告示研修を受講される方にとって、本記事が安心と準備の一助となれば幸いです。
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